ナポリタンを待ち侘びて

「吾輩は」 電車が通り過ぎる瞬間、微かに呟いた。 お昼にヤマセンが夏目漱石の「吾輩は猫である」の一文は近代文学を変えたとか、なんとか熱く語っていたのを思い出して、なんとなく呟いた。意味はない。 お年玉で買ったBluetoothのヘッドフォンは低音が気…

チャーハンを待ち侘びて

「この人ストーカーだから」 新宿から数分、中央線沿いのオフィス街を私は歩いていた。 普段ならば、忙しく人が行き交うこの辺りも、休日なると閑散としている。 巨大チェーン店の蕎麦屋もここでは土日が休みらしく、店内に灯りも人もない。街の流れと逆行し…